事務所通信

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    平成20年8月(第68号)女子2人の価値



     お陰様で、事務所通信も68号となった。5年と8カ月目に入る。こうして続けられるのも私を支えてくれる沢山の方々のお陰と深く感謝の気持ちが湧いてくる。かねてから、『事務所の出来事』の題名を変えたいと思っていた。この税理士という職業に進むことに、最初に背中を押していただいた先生がいる。高校3年の時の担任の先生だ。事務所を開業する時、先生が書いた色紙をいただいた。そこに『難有有難』(なんありありがたし)と書いてある。難があるから有り難い。有り難う。

    女子2人の価値

     北京五輪の女子ソフトボールの最高視聴率は47.7%だったそうだ。団体競技では、女子ソフト・女子サッカーは見ている者を熱くさせた。女子の底力・女子の執念を見せてくれた大会だった。その中で、印象に残った2人の選手がいる。女子ソフトの上野選手と女子サッカーの沢選手である。試合中黙々とチームを引っ張る姿がとても印象的であり、チームメイトは、彼女らに絶大な信頼を寄せていた。女子ソフトの決勝と女子サッカーの3位決定戦が時間を同じく行われていたのも何かの巡り合わせのようにさえ感じた。

     ソフトボールの上野選手は決勝前日の2試合、打線が点を取れない中、黙々と、つらい表情ひとつ見せず、時には笑顔で318球を投げ切った。そして次の日、金メダルの瞬間、アメリカ最後打者は、三塁ゴロ。その前に痛烈な打球を、抜群の瞬発力をみせライナーで好捕した三塁手でさえ、一塁への送球は、緊張からか送球がそれ、ショートバウンドに。一塁手も逃すまいと体を精いっぱい伸ばし難しい送球を好補する。この最後のプレーに、上野選手を助けたいという他の選手の一体感がプレーにでた瞬間であったように思う。

     上野選手と沢選手、2人を見ているとチームはもちろんのこと、競技自体を心から愛していることがわかる。ソフトもサッカーも、決して一人の力ではどうすることもできるものではない。上野選手を助けたいという最後のプレーにせよ、相手チームが沢選手に対して、徹底的にマークやプレッシャーをかけるが、それをチーム全員でカバーしたプレーにせよ。チームがあっての上野選手であり、沢選手なのだ。沢選手が敗戦後、一人、二人とねぎらうようにチームメイトを抱きしめていた姿は、そのことを象徴する場面だった。

     今回の両チームは、敗戦の中から最終日まで這い上がってきた。心身とも切り替えの難しいなか這い上がってきた。この女子2人の価値は大きい。上野選手は、『高校時代に、一度、投手をやめようと思ったことがある。相手にまったく打たれなくなった時だ。勝って当たり前、抑えて当たり前に思われるのがたまらなく嫌だった。実業団に入って、打たれるようになってうれしかった。打たれるから続けられる。そして、また打たれるの繰り返しなんです』(読売新聞抜粋)まさに、難有有難ではないか。

    平成20年7月(第67号)古豪の躍進

     いつも大変お世話様になりありがとうございます。7月25日(金)埼玉県営大宮球場では、高校野球北埼玉大会決勝が行われました。上尾高校 対 本庄第一高校。埼玉県立上尾高校は、私の母校であり、24年ぶりの甲子園出場が目の前にありました。上尾高校は今年で創立50周年という節目を迎え、その年にふさわしい野球部の活躍でした。同級生からも電話連絡があり、やはり母校の活躍はみな注目していることが良く分りました。惜しくも敗れましたが、ここまで支えてくれた関係者の皆さんには感謝の気持ちでいっぱいです。

    古豪の躍進

     『古豪(こごう)上尾』新聞記事やテレビ放送では、上尾高校野球部を形容する時、必ずといってよいほど、この『古豪』という言葉が使われます。調べてみると、『古豪』とは、スポーツなどにおいて伝統があり、かつて栄えていたもの、強かったものの団体を指すとあります。昭和の時代、埼玉県の高校野球は、公立高校の全盛期であり、上尾高校は夏4回、春3回の甲子園出場を果たしています。その後、甲子園出場から遠ざかること24年、『古豪』と呼ばれるのも時代の流れなのでしょう。

     上尾高校の試合があると、スタンドにはたくさんの応援客で埋め尽くされます。当時の活躍を知っているオールドファン。もう一度、甲子園で『上尾高校』のユニフォームを見たい、躍進が見たいといった人たちです。当時の野本喜一郎監督が上尾高校を強くし、埼玉県の高校野球をリードして来ました。今や、その卒業生たちが監督となり、埼玉県の高校野球をリードしています。上尾高校野球部は、それだけ埼玉県の高校野球に大きな影響を与えてきています。そのことを、スタンドに応援に来ている人たちは良く分かっているのです。

     平成になって、埼玉県で公立高校が夏の甲子園に出場したのは4回のみ、埼玉県は私立の時代と言えるでしょう。高校野球は、昨年の特待生問題で揺れました。時代の変化に伴い野球観も変化し、高校野球もさまざまな問題が露呈されてきたと思います。上尾高校も今年から監督が変わり、新監督は強い時代を知らない世代です。それでよいと思います。いつまでも古い体質では生き残れない。新しいカラーで、新しい上尾高校野球部の伝統を作ってもらいたいと思います。変化に対応できてこそ、時代に合ったチーム作りが出来ていくと信じています。

     高校野球は、チーム全員で一つの目標に向かって全力でプレーする。試合に出ている選手がベンチに入ることができない選手の声援を背に受けて頑張る。裏方に徹している選手はチームを支えている。その伝統を地元の人たちが応援している。このことを選手は誇りに思っている。『古豪』とは敬意を表している言葉だと思います。球場に足を運ぶとその光景がよく分かります。チャンスに球場全体が応援しているさまには鳥肌が立ちました。『古豪』と呼ばれ、新しいスタイルで復活していく、上尾高校野球部にこれからも期待したいものです。

    平成20年6月(第66号)厳格監査

     いつも大変お世話様になりありがとうございます。NHKで放映中の土曜ドラマ『監査法人』。バブル崩壊後の日本経済を舞台に行われています。若手公認会計士が勤める監査法人には、不況に苦しむ企業の救済のため、多少の粉飾も見逃すという『ぬるま湯監査』派。赤字企業は切り捨て、いかなる不正も認めないという『厳格監査』派。この二つの意見対立がある。若手会計士は、『厳格監査』こそ正義と信じるが、切り捨てられていく企業や従業員の痛みを感じるたびに仕事に疑問を感じていく。一枚の決算書をめぐる企業と監査法人の攻防を描いています。

    厳格監査

    このドラマは、現代の世相を反映しています。日本は全般的に、欧米に比べると『ぬむま湯監査』でも問題はありませんでした。しかし、カネボウ事件等の反省を受け、監査を厳しくする流れがあります。日本企業が強い競争力を持っている時代は、『ぬるま湯監査』でも問題の露呈はありませんでした。経済のグローバル化が進み、世界の企業との競争にさらされると、もはや緩んだ企業組織では、勝ち抜いていくことができません。そこへ監査がいい加減だと、問題の先送りが露呈され、結局は日本の企業の多くへ大きな影響が及んでしまいます。

    このドラマのようにあまりにずさんな粉飾決算を続けている企業に対して、いきなり『厳格監査』を行えば、株価は大幅にダウン、上場廃止に追い込まれ、大企業の倒産や金融機関の破綻が相次ぐことにまでなってしまうこともあるでしょう。しかしながら、どんなに企業が危機に陥ろうとも『厳格監査』を行うべきなのです。それは社会的使命であると思います。企業の状態が悪くなる前に、早くから『厳格監査』を行っていれば、問題が出たところで改善の方法はきっとあるはずだと考えるからです。

    このドラマの中で、粉飾決算を指摘された企業の経営陣は、会計士に土下座をしてまで決算書を承認してくれるよう依頼をしている姿があります。これは、企業と会計士の間の正常な関係ではありません。会計士は監査を通じて企業経営の健全性を高めていくものです。その意味では会計士は企業の協力者であって、決して企業の敵ではないはずです。今後は、監査の厳格化の中で、従来の財務諸表の監査に加えて企業の内部統制の評価という業務が監査法人の業務に入ってくることからもそのように感じるのです。

    作者の矢島正雄氏は次のように述べています。『会計という仕事が、これほど注目されている時代はない。どんな企業や組織でも経理という部署は必ずあり、昔から会計の仕事にたずさわっている人の数はかなりいる。ただ、今までは平和だったのである。会計は記録に残る。時代が大きく動くとき、会計は大いに世間から注目されているのだ』と。会計監査の中で、理想と現実・社会的使命を背負い、悩み、もがきながら日本経済を支える会計士が抱えているものは、現代社会で生きるすべての人々が抱えている共通の悩みであると感じました。

    平成20年5月(第65号)複式簿記の力

     いつも大変お世話様になりありがとうございます。日本の企業は、複式簿記により会計帳簿を作成し、経営のかじ取りを行っています。14世紀中ごろ、複式簿記はイタリアのベニスの商人がつくり、何を売って儲け、何を売って損するのかを明確にわかる形として始めました。これを、ルカ・パチョーリが1494年に教科書にまとめ、これが、ヨーロッパ中に複式簿記を広げる原点になったといわれています。しかし、さらにそれを決定づけたのは、ベルサイユ宮殿を作ったルイ14世、この人が立役者でありました。

    複式簿記の力

    ルイ14世は、当時経済を良くしないと国家財政が破たんするという状況の中で、彼は商法の原点にあたるもの(フランスの商事王令)をつくるよう指示しました。これを受けたサヴァリーがサヴァリー法典をつくり、そこには、経営者が倒産したとき、裁判所に複式簿記を提出できない者は死刑に処すというものでありました。当時偽装倒産が横行していたフランス社会において、このサヴァリー法典により一掃されていきました。その百数十年後、ナポレオン法典になりヨーロッパの経営者は複式簿記を学ぶことをしたのです。

    日本における複式簿記は、1600年、境の商人にポルトガルの宣教師が数学を教え、この数学こそが簿記であったといわれています。ヨーロッパでは簿記を、日本でいう簿記そろばんではなく、経営管理数学といっていたのです。18世紀から19世紀に掛けての近江商人の中に、複式簿記を取り入れていたという事実があり、『中井家帳合の法』といわれるものがすでにありました。さらに江戸の末期、アメリカに渡った福沢諭吉がアメリカの教科書を写して翻訳したのが、簿記最初の本、『帳合之法』でありました。

    渋沢栄一は、銀座で商法講習所をつくり、複式簿記を教え、それが今日の一橋大学になっています。日本では、大正のころには商業高校をつくっています。なにも大学に行った人たちだけではない、普通の人にも簿記を学ばせています。アジアの国は、現在も複式簿記が入っていません。中国のほとんどの企業は、いまだに売上伝票と仕入伝票だけで、日本の国家や自治体が行っている歳出と歳入予算だけでやっています。減価償却概念がなく貸借対照表を持っていないのです。中国企業と日本企業と決定的に差があるのは、この複式簿記がないことなのです。

    何を売って儲け、どの資産を活用して儲け、何を購入して損し、何を購入して得をしたかをこの複式簿記を持ってきれいに分かるわけです。日本で当たり前に使っている複式簿記こそ、日本が一番早くアジアの中でマスターしたものです。ヨーロッパはサヴァリー法典が定着し、複式簿記により、経済の発展を遂げたといわれています。アジアでは、日本だけが複式簿記を早くから知っています。まさに複式簿記は日本が生んだアジアの中での『強み』であり、複式簿記をアジアに広めることで、アジア経済の発展に繋がると思うのです。

    平成20年4月(第64号)電子文書化を考える

     いつも大変お世話様になりありがとうございます。税務の申告は電子申告が一般的となり、文書のやりとりにもメールに資料を添付するという具合に変化してきました。しかし、実際には、紙が減ってきたかといえばそうではありません。毎年毎年、お客様の書類は増える一方です。事務所のスペースは限られているため、このまま増えていっては事務所が倉庫になっていく・・・。これは、会計事務所に限ったことではないと思います。電子の世の中となり、文書管理も電子化できないか考えてみます。

    電子文書化を考える

     会計事務所は、お客様の申告書等を保管しているため、書類が増えていきます。毎日、紙を大量に印刷するため、紙のコストは増加する一方です。ファックスも紙で出てきます。しかし、一日のファックスの半分以上は、宣伝広告のファックスです。そのファックスの裏紙を使用して印刷をしているのですが、なかなか、紙の減少にはつながりません。また、その紙を処分しなければならないので、処分用の紙の箱もすぐにいっぱいになってきます。この紙の出力をなくさないとなりません。

     書類を保管するということは、セキュリティの管理の問題があります。書類が机の上に山積みの状態では、他のお客様の資料と交じってしまう可能性があります。過去の古い資料などを確認したいときには、その書類を探さなければならない。書類を探すために無駄な時間もかかってしまいます。担当している者にしか、書類のある場所が分からなければさらに探す時間がかかるでしょう。また、大量に消費する紙をなくすことで、紙資源の保護や二酸化炭素削減に少しでも貢献できると思うのです。

     そこで考えることは、電子文書(ペーパレス化)です。文書が電子化されて保管ができれば紙で保管することの問題点が解決できる可能性があります。電子文書化でサーバーにお客様の情報等(現在の紙で作成していた書類)を保管することにより情報の共有化が図れます。担当者が不在でも対応ができる。パソコンには、優れた検索機能があるので、書類を探す時間が大幅に短縮されると思うのです。スキャナーで書類を読み取り、紙の使用がなくなるので、印刷にかかるコスト・コピー代の縮小になります。

     電子文書化は、今まで出力した紙をみて行う仕事から、紙の内容がパソコンの画面に写しだされるため、画面をみて仕事をするということです。この場合、紙と同様に書き込みをしたり、付箋を貼ったり、書類を糊づけしたりすることが、パソコン上でできないとなりません。それができると文房具も不要になってきます。しかし、電子文書ですから、サーバーに保管していくので、バックアップを万全にする必要があります。紙の問題は、どの業界でも共通します。電子文書化を進めていくことで、業務の見直しのきっかけになると思うのです。。

    平成20年3月(第63号)買った方がいいのか借りた方がいいのか

     いつも大変お世話様になりありがとうございます。花粉症に悩まされながら、桜の開花も早まり、明け方の体感が心地よく感じられる季節となりました。4月から設備投資を考えている企業も多いと思います。そこで、よくご相談される内容として、資産を取得した方がいいのかリースした方がいいのかという問題があります。これは、非常に難しい問題であり、答えのない問題でもあります。税務会計の改正事項を含めて考えてみます。

    買った方がいいのか借りた方がいいのか

     取得かリースかについては、税務面と資金面の両方から考える必要があります。税務面では、取得については、昨年の4月以降、減価償却の改正がありました。取得価額の95%まで償却可能の制度は廃止され、1円の備忘価額を残して全額の償却が可能です。さらに、新しい定率法では、定額法の償却率の2.5倍の償却率で償却する250%定率法が採用され、今までにも増して前半の期間に多額の償却費の計上が可能になりました。初年度で取得価額の1/4減価償却できるケースも出ています。

    リースについては、今年の4月以降の契約について改正がありました。所有権移転外ファイナンスリースは、リース会計基準の改正に伴い、賃貸借取引から原則として売買取引になりました。企業のリースは、ほとんどがこの所有権移転外ファイナンスリースです。改正により、資産をリース期間で均等償却するものですが、中小企業が、賃貸借処理した場合であっても、損金算入金額は変わらないため、これを認めることになっています。しかし、消費税については税務が売買取引となったことから、リース契約時に一括して控除することになりました。

    以上のことから、税務面については、収益性があり課税所得が十分ある企業は、従来よりも減価償却限度額が多額になるため、資産の取得により、納税額を減らすことができます。リースの場合は、減価償却費のかたちでも、賃借料のかたちでも損金算入額は変わらないため、従来と比べて有利不利はありません。消費税については、リースが、取得と同様の効果があるため従来よりも相当有利となりました。結論として、総合的には税務面の有利不利は大きく表れることはなく、その時の資金調達状況から判断することが賢明であると考えます。

    資金面から考えた場合、リースは資金調達力の乏しい中小企業であっても、担保提供の問題などの心配がありません。このことが、リースが広がっている要因と考えられます。また、企業は金融機関の借入枠を減らさなくて済むというメリットもあります。しかし、リース料には金利相当額、保険料相当額、リース会社の利益や管理コスト等が乗っているためリース料総額でみたときには、購入よりも割高になっているケースが多いです。決算書重視となる昨今、リースにするのか、金融機関から資金調達して取得を選択するのかの判断が大事になります。

    平成20年2月(第62号)負けて強くなれ

      いつも大変お世話様になりありがとうございます。
     2月17日、私の指導している少年野球チームの6年生13名が卒団しました。卒団文集の中で記した文章をご紹介します。





    負けて強くなれ

     6年生13名の選手の皆さん、卒団おめでとう。晴れて皆さんとこの日を迎えられることを、大変うれしく思います。また、たくさんの時間、皆さんと一緒に野球に打ち込んだことを誇りに思います。今年の6年生チームは、敗戦からのスタートでした。その後の皆さんの活躍は、この敗戦が支えていたと強く感じています。負けた時にどうするか。選手、指導者、母集団、みんなで考えることができたからだと思うのです。もちろん、勝つことは素晴らしいことだと思います。しかし、負けたときにどうするかということの方が、後々の人生に生かされると思うのです。これからの皆さんの人生では、負けることのほうが多いでしょう。それを自分の中でどのように受け止め、勝ちへ繋げていくのかが大事なのです。そのことを、このチームで皆さんとの活動の中で教わりました。指導者として、とても良い経験をしたと思います。

     少年野球は、野球だけが上手な子供にスポットライトが当たってしまう傾向は良くないと思います。そうすると、野球が上手であることが、全てだと勘違いしてしまう。早くからレギュラーになったが、思い上がりで結局挫折していく選手も多い。レギュラーになれなくても、声をからして応援したり、道具を揃えたり、足が遅くても懸命に最後までベースを駆け抜けるといったことに価値があることを教えていくことが大切だと思うのです。自分が出来ることを、必死にやった人間が社会で伸びていくのです。野球が大好きだった子供が、なかなか上達しなかった時、周りにいる大人の心づかいがなくて野球が嫌いになってはならないと思います。たまたま出会った大人によって、その子供の野球に対する感じ方が変化してしまうというのは大きな問題だと思います。野球をやっていると、努力をしなければ、打てないし、守れないし、勝てないので、必要に迫られて練習するようになる。子供は、いずれ必要だと思ったときに行動し、そこで、グッと伸びてくる。大人は待てないので、あれこれ言ってしまうのですが、子供の上達については、待つことがとても大事なことだと思います。

     私は、試合の中で、『二死を取ってからしっかり守りなさい』『二死を取られてから諦めないで攻撃しなさい』と子供たちに何度も声を掛けました。これは、最後の詰めをしっかりやること。逆境になっても諦めないことという心構えを持ってほしいと思ったからです。これからの生活の中で、同じような場面に出くわした時、野球で頑張った時のことを思い出してほしいのです。今年の皆さんの試合を振り返ると、このような場面が数知れずありました。『いろいろなことがあったけれど、最後まで辞めないで、良かった』という満足感を持って卒団してくれることが、指導者として何よりもうれしいことです。選手の皆さん、縁があって集まった13名です。これからは、それぞれの道に進みますが、支えてくださった方々に感謝し、お互い助け合える仲間であってください。負けた時の悔しかったことを思い出して。

    平成20年1月(第61号)松下に見るブランド力

      いつも大変お世話様になりありがとうございます。
     松下電器産業が、会社名と冷蔵庫や洗濯機などに使われている『ナショナル』というブランド名をやめて、今年の10月から『パナソニック』に統一することを決めました。『ナショナル』というブランド名は、とても有名ではありますが、会社名とブランド名が分かれていると、ブランド力が弱くなり、他社との競争に不利になるということがその理由です。『経営の神様』と呼ばれた故・松下幸之助氏が90年前につくったブランド名をなくすことになります。

    松下に見るブランド力

     松下電器産業は会社名であり、そのほか商品名ごとにブランド名がありました。冷蔵庫などには『ナショナル』を使い、テレビなどの映像・音響機器には『パナソニック』を使っていました。『ナショナル』は、英語で『国民の』という意味があります。創業者は、会社を立ち上げる時、会社名にはこうなりたいという社長の願いを、商品名には消費者に役立つものになるようにと願いをこめるものです。『ナショナル』は『国民の必需品にしたい』という幸之助氏の思いがこめられていたのでしょう。

    『パナソニック』は、1961年からアメリカなどで使われ始め、海外では、『パナソニック』のブランド名で統一しています。これは、アメリカではすでに『ナショナル』のブランド名が他社に登録されていて、使えなかった事情があるようです。『PAN(広く・あらゆるところに)』と『SONIC(音)』を組み合わせて、『松下の音を広く世界へ』という意味があります。普段、聞きなれていて気づくことがありませんでしたが、松下電器産業は、会社名を含めて3つのブランド名があったということです。

    ブランド力というのは、『あの会社・商品なら大丈夫』といった知名度のことです。私達は、ブランドで安心感を得ています。ブランドというと、ファッション系のものからは、高級さを指すことも多いです。ブランドは何に裏付けられているかというと、やはり品質の保証という『確実なものであるという安心感』だと思います。松下は国内では有名だが、アメリカなどの海外では、ライバルのソニーや韓国のサムスン電子よりもブランド力が低いといわれています。そこで、会社名とブランド名を統一して知名度アップを図ったわけです。

    『ソニー』は、東京通信工業から会社名を変え、『SONY』と書いて海外での知名度を上げようとした。『ケンウッド』は、前の会社名の『トリオ』時代は経営がうまくいかずに、赤字が続き、ブランド名の『ケンウッド』に統一することで、イメージアップをねらった。会社の名前や商品名はそれほど経営において大事であることがよく判ります。創業者の松下の名前や、幸之助氏が決めたブランド名をなくすのは、簡単ではなかったと思います。松下が会社名とブランド名を統一することでどのように変わっていくのか、今後注目して行きましょう。

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